2008年1月20日日曜日

■モンドール医学博士(Sugars that Healの著者)■

糖質は体の細胞間におけるほぼすべての知的活動に不可欠である。糖質は細胞の情報と活動のためになくてはならない一部なのだ。糖質栄養素は細胞が体の構造をいかに形作るかということと組織の日々の修復に対して影響を及ぼす。我々の体がなにが体に本来あるべきものか否かを見分けることを手伝うという点で重要な役割を果たす。

よって糖質は細胞がバクテリアやウイルスにいかに反応するかに対しても欠かせないものだ。我々の体内のほとんどすべての出来事は受胎から死にいたるまで、ある程度はこの「糖の言葉」によって調停されているのだ。(引用:Emil.I. Mondoa 医学博士、Sugars that Heal)

■細胞が会話をしていることを科学者が発見■

あなたは、自分の健康が「細胞同士がお互いに話し合う能力を有すること」に関係していることを知つていますか?体内でおこる全てのプロセスは(我々を守るのも癒すのも)、ある外側または内側との細胞の情報伝達に関わつている。このコード化されたメッセージは傷の治癒からガン細胞の破壊にいたるまで全てをコントロールしている。

従来は、たんぱく質がこれらのコードを細胞に供給していると思われていた。「科学者がその表面にある糖質が細胞が隣の細胞とコミュニケーションするのに使う“言葉”を作っていることを発見した」のは、実際にはほんの2、3年前である。体が正しい糖質類の組み合わせと供給を受けているとき、“糖鎖”とよばれるすばらしいものをつくりだす。

糖鎖には細胞のコードがついており、他の細胞の表面にくっつく。2つの細胞が触れたとき、糖鎖の複雑なコードを介してお互いと交信する。体内にこれらの糖が不足している場合には、交信された内容が乱れてしまうこともあるのだ。

■細胞の情報伝達がいかに大切か■

次の2つの言葉の違いは何であろうか?脂肪(FAT):食べる(EAT)違いはEという文字の一番下の短い線だけである。しかしこの短い線が全く別の意味をなす。

【補足:カタカナで「フキヲタベル」・・・”フ”に短い線が付いて「マ」-マキヲタベルと人は薪は食べない!ところが”タ”から線を採って「ク」となればーマキヲクベルで”言葉にはなる】

細胞間コミュニケーションにおいても同じことがいえる。コミュニケーションがうまくいっているときには物事はうまく働く。もし文書による通報通信が壊れてしまったら?もし葉書を書くのに必要な全ての文字を持たなかったら?あなたは間違ったメッセージを送ってしまう。

同じようにいくつかの糖質が失われると、あなたは病気にかかる。例えば一つの症例としてリウマチ性関節炎を考えてみよう。リウマチの患者のある細胞は、ガラク卜ースだけが欠乏した奇形の糖タンパク質を持っている。

欠乏しているこの糖質が多ければ多い程関節炎がひどい。関節炎は一つの例にすぎない。細胞表面にある奇形の糖鎖は、今では多くの病気の特徴として知られている。

糖質栄養が不足すると、細胞が持っている適切にその要求を伝えるという能力を途切れさせる。結果的に、我々の免疫細胞は侵入者を認識、警告、攻撃することができなくなってしまうことになり、このことで感染に対するリスクはより高まる。

また、細胞のミス・コミュニケーション(間違った連絡)は間違った信号につながり、免疫システムに健康な組織を抗原といわれる外部からの侵入者と間違えさせる。その典型例が、自己免疫疾患、花粉アレルギーなどである。

しかし間違った情報伝達の最も有害な結果は、変異した細胞の複写を免疫システムが認識できなくなることだろう。この認識がされないとガンになることを避れられない。

■糖のコードを使つて情報の伝達■

すべての細胞は、感染性の微生物を含めて、抗原とよばれる“IDタグ”のようなものをその表面にくっつけている。これらの分子形跡は我々の免疫軍司令官に侵入者が敵か味方かを教える。もし敵であった場合には、抗原は免疫システムを刺激して抗体を作らせそれに対して作用させる。

驚くべきことに、免疫細胞は何千という抗原を認識し反応する。“IDタグ”は、糖のクサり(糠鎖)であり、細胞の表面に書かれており、この糖のコードを使つて情報の伝達を行う。免疫細胞は体の中を他の細胞に触れながら移動して、以下の3つの質問をしている。


1.あなた(他の細胞)は私(この体の一部)なの、そして大丈夫?

2.あなたは私なの、そして大丈夫ではないの(助けが必要)?

3.あなたは私でないの、そして排除、破壊されるべきなの?



これらの質問とその答えは細胞表面についている糖コードを通じて翻訳される。その回答により、免疫細胞は、


1.その細胞をそのままにしておく。

2.その細胞を修復するか、または守るために助けを呼ぶ。

3.外部からの侵入者またはガン細胞を殺すために応援を呼ぶ。         



多くの感染物質は定期的に変異することにより、免疫システムを混乱させるので、正しい免疫応答は複雑化している。これは我々がいろんな種類の風邪や流感にかかることの説明になる。感染物質が変異するたびに、新しい抗原が必要となる。そして、これはT細胞とB細胞の間で複雑な情報伝達を必要とする。

これが速くおこればおこるほど、免疫システムは変異感染物質からのダメージをより速く防御したり治癒したりすることができる。新しい抗体が一度作られると、それは永遠に記憶に残される。体内に十分な糖質が供給されていれば、体はこのプロセスを速やかに行うことができるのである。

事実:感染性の侵入者とは関係ないと考えられていた病気は、実は適正な免疫応答のきっかけになり損なうか、あるいはその免疫応答を過度に刺激してしまうかする微生物によって引き起こされているのだということが発見されつつある

■科学研究が裏付ける糖質栄養■

糖貿栄養は最先端の研究分野であるとみなされている。糖鎖だけでも20,000以上の研究が毎年なされている。大学や大手製薬会社などの研究者が、この新しい発見の重要性を認識している。“糖コード”を解読することは健康と医薬にとてつもない発達を意味するであろう。

上記の研究により、8つの欠かせない糖類が驚くべき結果をもたらしてくれることを確認した。以下は糖のもつ魅力的な可能性のうちのほんの一部である。

1.微生物などの感染体に対して、劇的にNK細胞とマクロフアージの数を増加させる。         

2.侵入者または抗原に対してのみ、免疫T細胞活動を活発にする。

3.慢性疲労症候群における細胞の死を減少させる。

4.病気に対する抵抗力を劇的に上げる。

5.抗酸化物としてはたらき、活性酸素の収集を高める。

6.毒性や汚染の暴露から体を守る。

7.早期老化を防ぐ。

8.リウマチ性関節炎などの病気において炎症をやわらげる。

9.糖コードの情報のやり取りで、免疫細胞が侵入者を認識するのを手伝う。

10.細胞どうしがお互いにくっつき正しく反応することを可能にする。

■現代食の栄養不足■

人間の体が正しく機能するためには、水、ビタミン、ミネラル、酵素、たんぱく質、脂質および炭水化物を必要とする。我々が食べる食物はこれらの主要栄養素を供給する様々な源からできている。

栄養補助食品は、我々の生活が農場から離れファーストフード主体になってしまったために、今となっては必須のものとなった。必須の糖質の中で2つだけが現代の食事から得ることができる。昔はもつと多くの糖質を摂ることができた。

糖質がたくさん含まれている世界の植物は“癒しの植物”として知られている。糖質栄養素は以下の形態で見つけられる。アロエ、キノコのある種、エキナシア(薬草)、レンゲ属、イースト菌、とうもろこし、樹液、さや、果物のペクチン、ガム、母乳、ある種の藻、にんにく、ココナッツの果肉、ある種のハーブ糖の働きを解明できれば近代医療の発展にばく大な影響を及ぼすことができる。

そして、その医療の発展は薬物の改善やガン治療という程度のものではなく、それをはるかに超えるものである。研究者たちはいかに糖がパーキンソン病やアルツハイマーやエイズ(AIDS)やヘルペスのような感染病に影響を及ぼすかを調査している。糖は幹細胞の研究、臓器移植および組織工学技術の分野にまで影響を及ぼすことになるだろう。

もし、これらの有望な研究領域において成功を立証できたら、“糖の薬”は全く別の意味をもつようになるだろう。(引用:Erika Jonietz “Glynomics” in Technology Review 10/2001)

我々の現代の食事と生活習慣では昔の人々よりも糖質栄養素を少なくしか摂れないのには、いくつかの理由がある。店でみられる限られた種類の食品、青いうちに収穫されたものや加工食品、防腐剤、毒素などの全てが糖質栄養素を減らしているのだ。

土地の枯渇も果物と野菜の品質に悪影響を及ぼす。必要な糖質の中で、グルコース(ブドウ糖)とガラクトースは我々の食生活でも十分に取り入れることができる。しかし、これら以外の糖質は不足している。我々は、糖質を栄養補助食品として摂ることによって不足している糖質栄養素を補うことができるのだ。